第7話  初のダンジョン探索は、地味がいい 

ダンジョンを探索すると、いろいろな事が分かるかも。

第一章 初級探索者編

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第7話(その1)

 敏郎爺さんの家を後にした雫斗達は、今日の予定を話し合いながら歩いている。 

 「ねえねえ、せっかくだからダンジョンにいかない?」

 と百花、雫斗も行くつもりだったから、賛成するが一応断りを入れる。 

 「僕も行くつもりだけど、1階層だよ?」「え~~、何でよ」と不満を露わにする百花。 

 「1階層ってことは、スライム?」と弥生が聞いてくる。 

  「スライムってさんざん検証されているんじゃない?、今更何を調べるのよ!」

 とおかんむりの百花を無視して。 

 「検証って言っても自分たちが調べた訳じゃないからね、せっかく自分たちでダンジョンに入れるんだから、とことん調べたいじゃないか」と雫斗が言うと。 

 「で、何を検証するんだい?」

 と興味を惹かれたのか恭平が聞いてくる、弥生も聞く気になったらしい。 一人だけむくれている百花だが、一応何も言わないので雫斗は考えた事を得意げに話し始める。 

 「えっへん!、 スライムって叩いても叩いても平気じない?」と雫斗が言うと。 

 「そうね、打撃にはとことん強いわね、尖ったものには弱いけどね」と弥生。 

 「そう!!打撃には強いスライムだけど、中からの打撃にはどうなのか?と考えたわけなのだよ」

 と雫斗が掛けていない眼鏡を押し上げる仕草をする、精一杯の秀才のパフォーマンスだが。 

 皆の表情は頭の上に”?”マークが飛んでいる。 

 「何それ、空気入れでも突っ込んで空気を入れるの」

 百花の頭の中ではスライムの横で、一生懸命空気入れのポンプを押している雫斗の姿を想像してニヤついていると。 

 「それも一つの手だけど、もっと簡単なのがあるわけだよ百花さん」

 と雫斗が言う、しかし他の面々はポカーンとしている 

 立ち止まって、皆を見回した雫斗はボソッと一言。 

 「花火」、・・・・・・。そういった雫斗の言葉に一同視線を見合わせて。 

 「なるほど中で破裂させるのか、とんだ盲点だな」と恭平が言うと。 

 「面白そうね、何使うの?ロケット花火?ねずみ花火?爆竹?」と百花が興奮して話しだす。 

 「どれも破裂系だけど、ロケット花火とねずみ花火は移動するから不味いかもね、爆竹は導火線が濡れるとちょっとね、スライムは水の塊だし。でっ、来る前にネットで調べたんだけど水中花火ってのがある」

 と雫斗が言うと皆は知らないらしく怪訝な顔をする「これこれ」と雫斗がスマホで動画を見せる。 

 それはどうやら水中花火の宣伝動画らしく、花火を楽しんでいる家族の映像から始まる、浴衣を着て大きなタライに水を張りその周りで線香花火をしている家族、するとナレーションが。 

 「花火は楽しい娯楽です、でも火を使うので危険がつきもの、遊ぶときは大人の人と一緒に楽しみましょう、水の用意を忘れずに。でもこれなら大丈夫」

 すると一人の男の子が水中花火を取り出し、マッチの横で”シュッ”と擦ると勢いよく点火する、それをおもむろにタライの水の中へ放り込む、すると水中花火は”水の上を”シュ~”と言う音を立てて進み、しばらくすると「パン!!」と大きな音を立てて破裂する、水をかぶった子供たちが「わ~~」と楽しそうに叫んで逃げていく。 

 動画を見た皆の反応はいまいちだけど、百花が「地味ね~~」と一言。 

 ”地味って言うなし”と思ったけど、雫斗が気を取り直して「どう行けそうじゃない? 一応水の中でも破裂しそうだし」と言うと。 

 「そうだな、まあどっちにしても試してみない事には解らないね」と恭平もテンションが落ちる。 

 「そうね何事も試してみないと、ところでその水中花火この村に売っているの?」と弥生が言うと。 

  「うん調べた、吉川さんが村の売店に何箱かあるって、でもかなり前に仕入れたから使えるかどうかわからないって」

 他の面々の反応が薄くて意気消沈気味に雫斗が話す。 

 ”じゃ~取り敢えず、現物を見てみよう”、ということで皆で村の売店を集合場所にしていったん家に帰る事にした。 

 昼食を取らないといけないし、防具を持って来ていないのでどうしても一度家に帰る必要があるのだ。防具と言っても、厚手の皮のジャッケトと、ズボン。後は肘や膝を守るプロテクターくらいのものだがないよりはましだ。 

 一時間後、売店へと集まった皆は店の中へと入って行った。売店といっても、コンビニとスーパーと金物店が一つになった販売所だ、世帯数800人を賄える程度の規模で品数はそう多くはない、欲しい物が無ければ注文販売となるためしばらく待たなければならない、ちなみに電化製品も置いている。 

 「吉川さん、今朝電話して聞いた水中花火はありますか?」雫斗はレジのカウンターの中で暇そうに電子新聞を読んでいる、吉川夏美さんに話しかける。 

 「あるわよ」と言ってバックヤードに消えた吉川さんは、台車に積んだ段ボール箱3つを運んできた。 そんなに要らないんだけどと思いながらも一応聞いてみる「おいくらですか?」。 

 「いらないわよ、使用期限も切れているし、使えるかどうかもわからないもの在庫処分扱いでいいわ。でも何に使うの?、 一応火薬だから取り扱いには注意しないとね」と太っ腹な吉川さん。 

 「ダンジョンで、スライム退治?」と雫斗は自信がないので疑問形で返す。 

 「そう?、良く分からないけど全部はいらないでしょう? 此の量だと危ないからうちで預かって置くわね、使うときに取りに来るといいわ。とりあえず4つあればいいかな?」

 と段ボールを開けて、小分けされた4箱を取り出すと、カウンターの上に置いた。 

 それから”にこー”と笑って「ついでに何か買っていってね」商売上手な吉川さんである。 

 雫斗は飲み物とサンドイッチを棚から取り出しカウンターに向かいながら、買い忘れたものを思い出した。付箋紙とライター、火をつける道具を忘れては花火を買いに来た意味がない、ちなみにマッチは此の売店では売って居なかった。取り敢えず確かめられる事はとことんやろうと決めていたのだ。 

 レジに戻るとほかのメンバーは買い物を終えていた、雫斗は商品をカウンターの上に出し探索者カードを取り出す。 

 「あら、使うのは今日が初めて?」吉川さんが聞いてくる。雫斗がうなずくと、「現金をチャージしていないと使えないけど、もしかして昨日の魔物のドロップ品を換金したの?」。 

 どうやら昨日の武勇伝が一人歩きしているようだ、顔を赤らめながら頷く雫斗に吉川さんが。「じゃー、この装置にカードを触れて」多面体の水晶の様なものを示す。 

 ”シャリりン”という音とともにレシートが吐き出されてくる「はいこれ、商品とレシートね、あっ!これからは自営業の扱いになるから申告の時に必要な伝票とか領収証とかはちゃんと保管しといてね。じゃーありがとうございました」と吉川さんが商品と一緒にレシートを渡して、店員らしく頭を下げてくる。 雫斗はお礼を言って商品を受け取ると、リックに詰めて売店を出る。 

 皆はすでに買い物を終えて待っていてくれた、百花が悔しそうに「私もカードで払えばよかった」と言ってくる。 

 昨日のドロップ品は、ポーションだけは手元において、残りはすべて換金してもらい、4人の探索者カードの口座に振り込んで貰っていた、思いのほか高級豚肉のカードは高値で売れて、4人ともちょっとビビっていたのは内緒だけど、4人で分けても結構な金額になっていた、 

 店を出た雫斗はカードを仕舞うと百花に話しかける「フフフ、今朝起きて花火の検索していたら使ってみようと思っていたんだ、それより百花がシートソードを手放すとは思わなかったよ」。 

 「あら。私の得物は刀しかないわ、直剣は使いづらいのよ」と爺様の家から持ち出した木刀を起用にくるくる回している。 

 恭平はというと錫杖を担いでいるし、弥生は短弓を持っている、武器らしい武器を持っていないのは雫斗だけである。 

 ”皆気合入っているな”と思いながらも「1層だとその木刀も使い道がないと思うけど」と言うと。 

 「あら!、ダンジョンじゃ何が有るか分からないわよ」と百花さん、確かにおっしゃる通りだ、雫斗達四人は村のダンジョンへと向かうことにする。 

  

第7話(その2)

  

 ダンジョンの周りには関連する建物が建っている、受付をするための施設と買取所それに併設されている警備員待機所と、最低限の建物が並んでいる。 

 受付の前のホールは空いていて誰もいなかった、カウンターの前に来た雫斗達は受付の人に声をかける「芳野先輩、入ダン受付お願いします」菅原芳野、雫斗達の一つ先輩だ、受験生だが協会の受付でバイトをしている。 

 「あら、今日は貴方達だけでダンジョンに? 探索者カードは持ってきた?」参考書をかたづけて芳野が聞いてくる、「はい」と答えてそれぞれのカードを機械に通す。 

 「昨日、活躍したのってホントなのね、今日は何階層を探索するの?」と画面のデーターを見ながら聞いてくる。 

 「1階層」と言いかけた雫斗の言葉に被せて。「1階から3階層迄取り敢えず回ってみようかと、帰りは5時の予定です」と百花が言い切る。 

 「わかったわ、パーティーは組むけど別行動でいいのよね」と芳野先輩が笑いながら受付前のモニターを見ながらデーターを打ちこんでいく。 

 「はい、雑賀村ダンジョンへの入場の申請は終わったわ。いつも通りにその水晶玉で確認・・・じゃ無かった。今日は探索者カードで触れて認証してね」と芳野先輩が目で促す、見つめる先は無色透明な水晶玉である。 

 探索者カードの取得前まではその水晶玉に手を添えていたのだが、今日は探索者カードが有るのでそれで触れていく様に言われたのだ。 モニターに映る入ダン手続きの内容を確認して、その隣に鎮座している水晶玉に探索者カードで軽く触れる。すると濃い青みがかった色合いに変化する。 

 その水晶は探索者の本人確認の他に大事な役目がある。本来はそれが目的で設置されているのだが、その水晶はⅮカードと紐付けられた探索者カードを、所持している人物が本人かどうかを識別できるのだ。 

 そのことに目を付けた協会が、ダンジョンの入場から、取得物の換金および討伐した証明、それに探索者の銀行口座への入金と、多種多様な事に応用し始めたのが始まりだった。 

 その本来の目的とは、ダンジョンからの帰還の是非を確認する事だった、不思議な事にこの水晶玉は、地球上の生物であれば触れると色合いが変わるのだ。 

 濃い青から紫を経て濃い赤へと触れる人によって色合いが変わって行く、最初は何のことだか分からなかったが、時を経て感の良い者が気が付いた、濃い赤に近い人ほどダンジョンからの帰還が無いことに。 

 それからは、ダンジョンから帰還できるかどうかの試金石(水晶なのに石とはこれ如何に)、別名帰還確認の水晶として重宝されるようになる。 その水晶玉はダンジョンで産出される、大きな物は別にして小指の先ほどの小さな物は良く見かけるのだ。 

 雫斗も一度ダンジョンに入ると最低一個か二個は必ず見つけるのだが、換金してもいくらもしないので、ほぼ無視をしている現状なのだ。 

 しかしお守りとしては優秀で、ペンダントやキーホルダとして携帯している探索者が大勢いる。階層を跨ぐさい、色合いを見て行くか行かぬかの判断の材料とすることは珍しい事ではない、かく言う雫斗も携帯をしている。 

 其々が認証し終えて、色の確認を終えた芳野先輩が許可を出す。 

 「OKよ、入ダンゲートの通り方は分かるね、いくら3層ダンジョンだからって無茶しないでね、気を付けて行って来るのよ」芳野先輩に見送られて村のダンジョンへと向かう。 

 ダンジョンの入り口は建物でふさがれている、資格のない子供たちが入らない様にするためと、万が一魔物が出てこない様にするためだ。万が一とは魔物が入り口から出て来たことは今まで報告されていないからだ。 

 ダンジョンの入り口付近はダンジョンの影響下にある、魔物がダンジョンの外に出てくるのは、リポップしているからだと言われているが魔物が出現する所を見た人はいない、つまり憶測でしかない。 

 ダンジョンの入り口は扉で閉じられている、扉の横のカードリーダにそのパーティーのリーダー(ソロだと一人)が探索者カードを通すと扉が開く、全員が入ると暫くして扉が自動で閉まるのでそのまま探索に行くことになる。

推奨されるのは、パーティー全員がカードリーダーにカードを通す事、監視カメラがあるとはいえ何かの事情で参加できない人が出るとも限らないので、確認の意味で全員の認証が推奨されているのだが、めんどくさがって省略するパーティーもいる。

 最初にパーティーリーダーの百花がカードを通す、認証された機械音とともにダンジョンを塞いでいる扉が開く、次々と認証を済ませて最後に雫斗がカードを通す、4つのカメラの圧迫感に顔を引きつらせていたが確認の表示にほっと胸をなでおろす。今日、百花がパーティーリーダーなのは途中で雫斗が離脱する予定だからだ。 

 雫斗達はゲートを通るのは初めてではない、何度か大人たちと通っている、非探索者一人につきの探索者一人の付き添いの義務が条件としてあるが、薬草採取や鉱石の運搬など大人たちの手伝いをした経験がある。 

 しかし今日は雫斗達だけでダンジョンに入る、その為緊張で顔が引きつっていたのだ。無事ダンジョンに入ると百花が頬の筋肉をぐりぐりとほぐしていた、どうやら緊張していたのは雫斗だけではなかったようだ。 

 雫斗が「お仲間~~」と頬をほぐしながら笑いかけると、百花は顔を真っ赤にして「ふん!!」と背を向けて歩き出す。 

    

第7話(その3)

  

 村のダンジョンは計測されていて詳細な地図がある、雫斗達はスマホに映した地図を頼りに2階層に降りる階段の有る方向から少しそれて進む、 

 しばらく行くと一匹のスライムを発見した、ダンジョンの中のスライムは沼ダンジョンの周りにいるスライムの倍近い大きさがある。 

 子供たちにダンジョンカードを取得させるのに、沼ダンジョンの外のスライムを使う理由の一つだ、最初のスライムの討伐は大きいスライムより小さなスライムの方が、倒しやすいだろうと思ったからだ。 

 ブニョブニョと動くスライムを気持ち悪そうに見て「相変わらず気味の悪い動きだわ、塩の塊をぶつけたくなる」と百花。 ナメクジを連想したようだ、確かにこんな大きさのナメクジなら見たくない、ちなみに塩をかけてもスライムには効かないことは実証済みだ。 

 「誰からやる」と雫斗が聞くと。「言い出しっぺは貴方だから、貴方がやりなさいよ」と百花。 

 「わかった、これで撮っていてくれる?」とスマホを百花に預ける。 

 百花がスマホを構えてキューを出す、雫斗は水中花火を取り出してライターで火をつける、”シュウ~~”という音とともに着火する花火、慌て雫斗はスライムの上に投げ捨てる。 しばらく、もくもくと煙を吐き出していた水中花火は、静かにスライムの中に消えて行った。 

 ”あれ~、失敗か?”と思ったとき「ボォフン」、という鈍い音とともにスライムが弾けた、すると”ビチャ”とスライムの残骸が飛び散り、敢え無くスライムは光の粒へと還っていった。 あまりの成り行きにお互い見つめあっていると。

 「わりと呆気なかったわね」

 と百花が言いながら撮影したスマホを雫斗に返す。 

 「びっくりした!!、こんなに簡単でいいの?」

 と驚いた弥生言うと。

 「いや~~、思っていたのと違う」

 と恭平、どうやら派手に破裂することを期待していた様だ。 

 それぞれの感想を言いながら、ごそごそと花火を取り出して歩き始める、慌てて雫斗は「一時間後に、ここに集合だよ地図にマークしていてね」と大声を上げる。 

 ピタッと止まった百花がスマホを取り出しながら、親指を突き上げてダンジョンの奥へと消えていく、弥生もスマホを確認してついていく、どうやら百花と弥生は一緒に行動するようだ。 

 恭平もスマホのダンジョンの地図アプリにマークして別の通路へ消えていく、ダンジョンの洞窟は通路と広間の連続で迷路のようにつながっている、魔物は通路より広間の方に固まっていることが多い、皆はあたりをつけた広間に向かっているようだ。 

 雫斗もスマホに表示されている集合場所にマークを刻んで皆と違う広間へ向かう、道すがらスライムを倒しながらニマニマが止まらない。こうも思惑通りにいくとは思っていなかったから、久しぶりに気持ちが高ぶっている。 目的の広場に着くとたくさんのスライムを発見した、人気のないこのダンジョンはスライムが討伐されていなくてけっこうな数が残っていた。 

 雫斗は手を合わせてお辞儀をする、「どうぞいいドロップ品に当たりますように」1階層のスライムでもアイテムがドロップする、しかし浅い階層は深層より確率が悪い、それで神頼みではなくダンジョン頼みでお祈りをしているのだ、効果があるかは別にしてそれぐらいドロップしないと聞いている。 

 さぁー始めるかと花火を取り出して火をつける、”シュ~” ポイ ”バフゥン”、”シュ~” ポイ ”バフゥン”、と軽快にスライムを倒していると、たまに”パァァァン~~”と大きな音が聞こえてくる。水中花火をスライムの上に置けなくてそのまま破裂させているみたいだ、洞窟の中だとけっこう大きな音が響いてくる。 

 そろそろ水中花火が無くなるころ、集まる時間になったので集合場所へと戻っていく、ドロップしたアイテムは初級ポーション×3のカード一つと、スライムゼリーのカード三つ、まあまあの戦果だ、数を倒せたのがよかったみたいだ一時間で50匹以上はいい出来だと思う。 

 ちなみにスライムゼリーは食糧ではない、食べられない事はないが薬とかの材料になるらしい。 

 集合場所に着くとすでに全員が集まって雑談していた「ごめん、遅くなった?」と雫斗が言うと、百花が開口一番「飽きた」とご機嫌斜めだ。 予想していた雫斗は”あはは”と笑うしかない、百花達は3層の草原で狐や兎の魔物を狩りたいのだろう、仕方ないこちらの検証に付き合ってもらったし、行ってみるかと雫斗が考えていると。 

 「なんだ、お前たちか」と声がかかる、驚いて振り向くと壮年の大男が洞窟の通路から現れた。 

 「おやじ!」「おじさん」と恭平と百花が同時に言う、現れたのは立花浩三、恭平の父親でダンジョンの3層で狩りをして生計を立てている。 

 「ものすごい音がするから来てみれば、犯人はお前たちか?」

 と浩三が笑いながらいう。 

 「あら!悪戯していた訳じゃ無いわよ、ちょっとした検証よ」

 と百花が雫斗を見ながら、”そうでしょう?”と同意を求める。 

  「スライムの効率のいい倒し方を試していました、1時間で50匹以上倒せました」

 と期待を込めて雫斗が言うと。 

 「そうか?、それはすごい」

 と一応驚くが反応は薄い、落胆する雫斗に。

 「報告だけは忘れずにな、何が収入に成るか分らんからな?」とアドバイスをする。 

  「はい、ありがとうございます」と雫斗がお礼を言うと。

 「ねぇねぇおじさま、3階層へ行くんでしょう?私たちも連れてって」と百花が離脱を宣言した。 

 「構わんが、木材集めだぞ?」と斧を見せる。

 「なんでもいいわ経験になるもの、退屈なスライムよりね?」と百花が鼻で笑う。 

 ”くそ~~っ!!、世紀の発見をしても教えてやらんぞ”と雫斗が震えていると。「はいこれ」と百花は残った水中花火を、雫斗に押し付けて3人で浩三さんについていった。 

 ”ぼっちだろうが、地味だろうが徹底的に1階層をしらべてやるぞ~~!!”とその時雫斗は誓うのであった。 

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